食品ロスという言葉を最近よく耳にします。
世界中では食べ物が満足に食べられず飢餓や貧困が問題になっているのに、先進国では毎日たくさんの食べ物がまだ食べられるにも関わらず捨てられているんです。
食品ロスは、現状や問題点を理解し、一人ひとりが意識して対策を行えば今よりももっと減らすことができると私は思います。
この記事では、食品ロスとは?というところからはじまり、食品ロスによって起きる問題、世界や日本の現状などを見ていきながら、私たちがすぐにできる取り組みや対策なども具体的に紹介しています。
サステナブルな生活をしたい、SDGsに貢献したいという方にも役に立つ内容になっていますので、ぜひ読んでみてください。
食品ロスとは?
食品ロスとは、まだ食べられるにも関わらず捨てられてしまう食品のことです。
最近コロナウイルスなどの影響で話題になって取り上げられる機会も増えましたが、食品ロスという言葉はかなり前から使われてきたそう。
フードロスとも言われることがありますが、厳密には意味が違うようです。
fa-star参考記事「食品ロス」と「フードロス」は違う?その理由をSDGsとFAOの定義から読みとく
現在は、言葉が広く知られるようになったことで「食品ロス=フードロス」となっている場合も多いです。
農林水産省では食べられない部分を含む食品廃棄を「食品廃棄物」と呼び、食べられる部分の廃棄を「食品ロス」と言います。
食品ロスによって起きるさまざまな問題
- 地球温暖化への影響
- 貧困問題・食料資源不足問題
- 食費への影響
地球温暖化への影響
食品を生産して加工する過程の中で、工場の機械を動かしたり電気をつけたりといったさまざまなエネルギーが使われています。
また、生産された商品の輸送などにも車や船などを使うため、地球温暖化の原因とも言われる二酸化炭素がたくさん発生しています。
食品ロスとして捨てられるということは、生産や加工に使われたエネルギーがすべて無駄になってしまったということです。
また、食品ロスをゴミとして捨てる際は、ほとんどが燃えるゴミとして処理されています。
食品などの生ゴミは多くの水分を含んでいるため、燃やすためにさらに多くのエネルギーが必要になりさらなる二酸化炭素が発生することになるのです。
さらに、ごみ処理には多額のコストがかかっており、これらのお金は税金でまかなわれています。
貧困問題・食料資源不足問題
現在世界中で生産されている食料は、全人口の食事を賄うのに十分な量だと言われています。
日本ユニセフ協会によると、6人に1人の子どもが極度にまずしい暮らしをしている(2021年2月現在)そう。
fa-star参考記事日本ユニセフ協会|“地球上のあらゆる形の貧困をなくそう”
ですが、先進国では大量のまだ食べられる食品が捨てられています。
WFP(国連世界食糧計画)の2020年の支援食料は420万トンでしたが、2019年の食品ロス量は570万トンと約1.4倍も捨てられているんです。
このような面からも、食品ロスをもっと有効に活用するべきだと言われています。
現在はフードバンクが設立され、世界中で活動が行わています。
フードバンクとは、過剰在庫や印字ミスで販売できないなど品質には問題のない食品を企業などから寄贈してもらい、その食品を必要としている施設や困窮世帯に無償で提供する活動です。
また、食品ロスの処理のために排出される二酸化炭素は、地球温暖化の原因にもなると言われており、地球温暖化は農業にも深刻な影響を与えています。
世界人口は増え続けていると言われており、このままでは飢餓が先進国にも広がっていく可能性があります。
特に日本はカロリーベースの食料自給率は37%(2021年現在)となっていて、63%を輸入に頼っています。
外国の水やエネルギーを使って生産されたものを輸送エネルギーを使って輸入しているにも関わらず、大量の食品ロスを生んでいるのです。
食品ロスの対策はもちろん、食環境のあり方も大きな見直しが必要だと言われています。
食費への影響
家庭レベルで見ると、食べ残しや皮を厚くむくことなどによる過剰除去で食品ロスが発生しています。
食べきれずに腐らせてしまったりと家庭から食べずに捨てる食品がたくさん出ているということは、それだけ食費にも負担がかかっているということです。
節約術などでチラシを隅々までチェックして安いスーパーをはしごしたりといった方法も紹介されていますが、まずは捨てる食材を減らし最後まで使い切ることを意識するだけで食費は抑えることができます。
それだけで家庭からでる食品ロスを減らすことにも繋がるので、ぜひ実践してみてくださいね!
食品ロスの現状
食品ロスの世界と日本の現状を見ていきましょう。
世界の現状
世界でも先進国を中心に食品ロスが引き起こされています。
1年当たり13億トンを廃棄していると言われており、これは大量生産によって作りすぎたものや賞味期限が切れることで捨てられるものです。
国連環境計画(UNEP)では、世界の食品廃棄物(骨などの食べられない部分も含む)量を「UNEP Food Waste Index Report 2021」で発表しており、日本の1人あたりの食品廃棄物発生量は133.6kgとなっていて、世界の主要国の中でも高い数値となっています。
データで見る日本の現状
参照:農林水産省|食品ロスとは
日本では、年間570万トンもの食品が捨てられています。(令和元年度推計値)
これをお茶碗に換算すると、1人あたり1日1杯分捨てていることになるそう!
食品ロスが起きてしまう理由
食品ロスは、大きくわけて「事業系食品ロス」と「家庭系食品ロス」の2つがあります。
事業系食品ロス
日本は賞味期限にとても厳しいと言われており、「3分の1ルール」というのが食品メーカーやスーパーなどで存在します。
製造日から賞味期限までの期間の3分の1となる前に卸売業者から小売店に納品されます。
そこから商品として販売され、賞味期限まで残り3分の1となったころまでに売れなかったものは店頭から撤去されてしまうのです。。
飲食店などで販売される物販商品も、賞味期限が切れる前の日付の「販売期限」があり販売期限が過ぎたものは廃棄されることも多いです。
とくにチェーン店など大手飲食店では、こういった販売期限が過ぎたものはスタッフが食べたり持って帰ったりということを禁止しているところも多く、かなりの量が捨てられてしまいます。
家庭系食品ロス
家庭系食品ロスは、家庭から発生する食品ロスですが、理由には食べきれなかったものを捨てる「食べ残し」、賞味期限切れで捨ててしまう「直接廃棄」、皮を厚くむきすぎるなどの「過剰除去」があります。
データで見てもわかるとおり、家庭系食品ロスは46%をしめているため、一人ひとりが行動することで食品ロスの発生量は減らすことができそうですよね。
消費期限と賞味期限の違い
そもそも、食品には消費期限と賞味期限があることはご存知でしょうか?
消費期限
急速に劣化する食品(肉や魚、惣菜など)に表示される期限で、安全に食べられる期限のことを言います。
そのため、消費期限を超えると安全ではなくなる可能性があるので、食べることはおすすめされていません。
賞味期限
対して賞味期限は、比較的傷みにくい食品に表示される期限で、未開封かつ包装等に書かれている保存方法を守っていれば、すぐに安全性に問題が発生するわけではありません。
家庭で賞味期限が切れたらすぐに捨てているという方も多く、この違いを知らずに捨てられてしまう食品も多くあると言われています。
平成29年に徳島県で実施した食品ロス削減に関する実証事業の結果では、賞味期限切れで捨てられた食品は、家庭系食品ロスのうち6%をしめていたそうです。
fa-star参考記事政府広報オンライン|もったいない! 食べられるのに捨てられる「食品ロス」を減らそう
食品ロスと関係の深いSDGs
- 目標1―貧困をなくそう
- 目標2―飢餓をゼロに
- 目標10―人や国の不平等をなくそう
- 目標12―つくる責任 つかう責任
- 目標13―気候変動に具体的な対策を
食品ロスは、生産過程やゴミとしての処理において大量の二酸化炭素を排出します。
食品ロスのために対策を行うことは、気候変動対策にも繋がります。
また、食品ロスを抑えることは、世界中の飢餓や貧困を助け、将来の食糧危機による飢餓を抑えることにも繋がるため、一人ひとりの対策がとても大切です。
目標12の「つくる責任 つかう責任」のターゲット12.3は「2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる。」となっています。
あわせて読みたい
私たちにできる食品ロス対策
- 安売りで必要以上に買わない
- 見切り品を活用する
- 冷蔵庫の中を把握したうえで買い物に行く
- すぐ食べる食材は期限の短いものを選ぶ
- 野菜の皮や種など食べられる部分も大切にする
- 冷凍や干し野菜などを活用して保存する
- コンポストをはじめる
- 外食時は食べ切れる量を注文する
- 食品ロス削減通販サイトを利用する
安売りで必要以上に買わない
スーパーでセールになっているからとまとめて購入するという方は多いのではないでしょうか?
私も前は安いからたくさん買っておこう、とスーパーで見かけた安い商品に飛びつくこともよくありました。
でも、安いからとたくさん買っても、余らせてしまっては無駄になってしまいます。
また、ストックをたくさん置いておくと、安心感からたくさん使ってしまう人も多いようです。
安売りで必要以上に購入することをやめれば、食品ロスを減らせるだけでなく食費を減らすことにも繋がります。
見切り品を活用する
見切り品は、消費期限・賞味期限間近のものや見た目が悪くなってきた野菜などを割引するもので、お得に購入することができます。
見切り品は、売れ残ってしまえば食品ロスになってしまうため、私はスーパーに行ったらまず見切り品コーナーをチェックして積極的に利用するようにしています。
しかし、ここでも安売りのものを買うときと同様、傷んでしまう前に食べられないものであればすぐに購入するのはやめてしっかりと考える必要があるため、無理のない範囲で利用してみてください。
冷蔵庫の中を把握したうえで買い物に行く
スーパーへ買い物へ行くときは、必ず冷蔵庫の中を把握したうえで買い物に行きましょう。
買い物リストを作って必要最低限で買い物を済ませることもとても大切!
ないと思って買ってきたものが冷蔵庫の中にまだあって、結局食べきれなくなってしまうということもおこってしまいます。
私は定期的に冷蔵庫の中を掃除するようにしていて、買い物は冷蔵庫の中がからっぽに近くなるまでいきません。
また、先に使うべき食品を置くスペースを決めておき、傷みそうな野菜があれば先に使い切るなどの工夫をしています。
冷蔵庫を空っぽにするのが難しいと感じる方でも、パスタなどの乾麺や豆類、レトルト食品など賞味期限が長く冷蔵庫に入れる必要のない食材のストックもある程度しておき、買い物前日はそういった食材を活用するのもおすすめです!
すぐ食べる食材は期限の短いものを選ぶ
スーパーに買い物に行くとき、できるだけ賞味期限の長いものを選びたいからと奥のものから取っている方も多いかもしれません。
同じ値段なんだから、できるだけ新鮮なもの・期限の長いものを買いたいという気持ちもわかります。
でも、賞味期限の短い手前のものから取る「てまえどり」を実践するだけで、スーパーの食品ロスを減らすことに繋がるんです。
もちろん期限内に使い切れなければ家庭での食品ロスに繋がってしまうため、毎回は難しいという方もいるかもしれませんが、今日使うものを買いたいというときだけでもぜひ期限の短いものを購入してみてください。
野菜の皮や種など食べられる部分も大切にする
厳密に言うと、食品ロスは食べられる部分を捨てることを言います。
ですが、食品ロスには、皮をぶ厚めにむくなどの過剰除去も含まれているため、野菜の食べ方を見直すこともとっても大切!
私は植物性中心(プラントベース)の食事をするようになって、しっかりと栄養を摂るために、野菜の皮などもできる限りすべて食べる「ホールフード」を意識するようになりました。
これまで捨てていたような皮や種にたくさんの栄養が詰まっていることを知り、実践しはじめた結果、野菜クズなどのゴミがほとんど出なくなりました。
皮まで安心して食べられるように、無農薬やオーガニックの野菜を買うようになったり家庭菜園で無農薬の野菜を育てたりするようになり、さらに野菜を無駄にせず食べたいという思いも強くなりました!
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冷凍や干し野菜などを活用して保存する
食材を腐らせて捨ててしまう機会を減らすためには、冷凍や干し野菜などの保存方法も活用するのがおすすめ!
私は一人暮らしですが、ご飯を炊くときは4合まとめて炊き冷凍しています。
ご飯が余ることでの食品ロスを減らすだけでなく、電気代の節約にも繋がり環境に優しいサステナブルな生活ができます!
干し野菜は、野菜を切って干すだけで長期保存ができるようになるおすすめの方法!
切った野菜を干し野菜ネットやザルに入れて、3日〜1週間ほど干しておくだけで、1週間も日持ちしないような野菜が数ヶ月持つことも!
長期保存ができるようになるだけでなく栄養価まで上がるので、栄養不足が気になる方にもぜひ実践してほしい方法なんです!
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コンポストをはじめる


私は、家庭菜園をするようになり生ゴミを堆肥に変えることができるコンポストをはじめました!
写真のようにかわいいバッグの中に生ゴミを入れるだけなので、大きなスペースがなくても小さなベランダでもはじめることができるのが魅力!
普段から生ゴミをここに入れているので、燃えるゴミで生ゴミを出すことはありません。
すでにお話した通り、ゴミを燃やすにもコストがかかり二酸化炭素が排出されます。
生ゴミは80%が水分と言われています。
水分を燃やすということは、燃焼効率が悪くなりごみ処理のコストが余計かかるだけでなく、環境汚染にも繋がります。
コンポストをしていれば、もし食品を腐らせてしまったときなども、この中に入れることができます。
もちろん食品を余らせない努力も必要ですが、コンポストに入れられれば燃えるゴミを減らすことに繋がります。
外食時は食べ切れる量を注文する
外食に行くときに、食べきれない量を注文して残して帰るという方はいませんか?
私は長いこと外食産業でアルバイトとして携わってきていますが、やっぱり残して帰る人ってかなりたくさんいます。
残ったものは捨てるしか方法がなく、毎日かなりの量が廃棄されています。
海外では余った料理を持って帰ることは当たり前に行われていますが、日本では持って帰るのが恥ずかしいと感じる方が多かったり、食中毒の観点から持ち帰りを禁止しているお店もあったりします。
外食に行くなら、まずは食べ切れる量だけ注文することが大切です。
大盛り無料などのお店もよくありますが、無料だからとりあえず大盛りにしておく、ではなく本当に食べ切れる量だけ注文するようにするようにしましょう。
食品ロス削減通販サイトを利用する
これまでは「家庭系食品ロス」を削減するためにできる取り組みをまとめました。
最後は、「事業系食品ロス」を削減するために私たちに貢献できる取り組みです。
スーパーや工場などでは、賞味期限が近くなって売れない食品や、中身に問題はないのに外箱やパッケージの傷やへこみがあるだけで捨てられてしまう食品があります。
このような「事業系食品ロス」を引き取り、安く販売している通販サイトがあります。
私たちが食品ロス削減に貢献できる通販サイトを利用することで、事業系食品ロスの削減や食費の削減に繋がるため、近年人気が出てきています。
商品の種類によってはまとめ買いをする必要もあるため、購入しにくいという声もありますが、よく食べるお菓子や毎日飲んでいるアルコールなども販売されているため、お得に利用できるのがメリットです。
「KURADASHI(クラダシ)」や「otameshi
」が有名ですが、ほかにもさまざまな食品ロス削減通販サイトがあります。
有機野菜や無農薬野菜を食べられる「食べチョク」では、「フードロス」や「食品ロス」で検索すると規格外の野菜や加工品を購入することができます!
私は宮崎県に住んでいるのですが、宮崎で無農薬きのこを栽培している「しげながきのこ」さんの「きのこのおしり」がお気に入りでよく購入しています!
きのこのおしりとは
きのこの根元の部分です。フードロス削減、廃棄量削減の取り組みで
新しく生まれた商品です。工場で根元をカットし
綺麗な形で出荷していますが
このカットした部分が
実はここが1番栄養価が高く
旨味、香りとともに抜群です!廃棄にまわさず、
おがくずをきれいに取り除き
商品化しました。
食品ロス削減を応援できるおすすめサービス
- 食品ロス商品をお得に購入でき寄付もできる通販サイト「Otameshi」
- 食品ロスを削減するフードシェアリングサービス「TABETE」
- 食品ロス/在庫ロス削減のマーケット「let」
食品ロス商品をお得に購入でき寄付もできる通販サイト「Otameshi」
「Otameshi」は、食品ロスをメーカーから買い取り、お手頃価格で販売している通販サイトです。
お得に購入できるだけでなく、購入金額の中から寄付もしてくれるため、サステナブルな暮らしやSDGsに興味のある方からも支持を得ています。
食品はもちろん、化粧品や事務用品なども扱っているため、幅広い年代の方に利用されています。
食品ロスを削減するフードシェアリングサービス「TABETE」
「TABETE」は、食品ロスになってしまいそうな食事がお得な価格で購入できるフードシェアリングサービスです。
購入することで売り切ることが難しかった商品を「レスキュー」することができます。
決済はアプリ内でクレジットカードで支払いで、指定の時間になったらお店に取りに行くだけ。
掲載店舗はまだ少なく、限られた都市圏でしか利用できないため、今後の展開に期待です。
食品ロス/在庫ロス削減のマーケット「let」
「let」は、食品ロス/在庫ロス削減のマーケット として多くの人に利用されています。
月額290円もしくは年額2,800円のプレミアム会員になることで、たくさんのポイントがもらえて実質半額以下のさらにお得な価格で購入できるため、定期的に購入する人にとってはかなりお得なサービスです!
無農薬野菜なども購入できるので、食品ロス削減だけでなく自分の体にもいい商品選びができるのが魅力!
会員登録後、右下のマイページに行き紹介コード「UHlMra」を入力することで、100円分のポイントをもらうことができるため、気になる方はアプリをダウンロードしてみてくださいね!
できることから食品ロス対策に取り組もう
食品ロスについて現状や原因、さまざまな問題などを見てきました。
これからすぐにはじめられそうな具体的な対策についてもまとめたので、今までできていなかったことから取り組んでみてはいかがでしょうか。
私も完璧ではないですが、自分のできるところから少しずつ取り組んでいます。
SDGsに関する記事をほかにも書いてます!
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