「フェアトレード」という言葉を一度は聞いたことがあるという方は多いのではないでしょうか。
フェアトレードは、環境にも優しく生産者の生活の助けにもなるSDGsに貢献できる取り組みです。
言葉は聞いたことがあっても、どんな取り組みなのかあまりわからないという方もまだいると思うので、この記事では、フェアトレードについてまとめてみました。
フェアトレードとは?というところから、フェアトレードの種類、認証マーク、フェアトレードの基準、フェアトレードの問題点、おすすめのフェアトレード商品までさまざまなことをまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
フェアトレードとは?
フェアトレードは、「公正・公平な貿易」という意味のある言葉です。
普段商品を購入するときに、この商品はどんな人によってどうやって作られてここまで届けられたのだろう、ということを考えたことはあるでしょうか?
お得だなー!と買った商品は、なぜその金額でも利益が出ているのか理由を考えたことはありますか?
実はこのような安い商品の中は、発展途上国の人たちに安い(不当な)賃金で長時間働いてもらい生産されている商品もあります。
ときには子どもを働かせる児童労働で商品が作られていることも。
このような、発展途上国で作られる原料や製品を適正価格で継続的に購入することで、貧困な生産者や労働者たちの生活改善や自立を支援する貿易の仕組みがフェアトレードなのです。
フェアトレードはいろんな認証がある
- 国際フェアトレードラベル機構(Fairtrade International)
- 世界フェアトレード連盟(WFTO:World Fair Trade Organization)
- フェアフォーライフ認証(FFL:Fair For Life)
- フェアトレードUSA(FTUSA:Fair Trade USA)
- フェアトレード連盟(FTF:Fair Trade Federation)
- その他のフェアトレード
国際フェアトレードラベル機構(Fairtrade International)
国際フェアトレードラベル機構(Fairtrade International)は、ドイツに本部を置く国際組織で、日本では特定非営利活動法人 フェアトレード・ラベル・ジャパンがその役割を担っています。
フェアトレードの明確な基準を設定し、それを守った製品には国際フェアトレード認証ラベルがつけられています。
フェアトレード生産国で生産や加工、輸出入などを行う組織はライセンスが必要で、さらに国際フェアトレード認証製品として販売するためには製品ごとに認証を得る必要があります。
国際フェアトレード認証ラベルは、製品につけられる認証です。
定期的に監査が実施されていて、基準を遵守していない場合一定期間内に改善が必要で、改善されない場合は認証の一時停止や取り消しも行われています。
認証ラベルの信頼性は高く、フェアトレードといえばこの国際フェアトレード認証ラベルが一般的です。
世界フェアトレード連盟(WFTO:World Fair Trade Organization)
世界フェアトレード連盟(WFTO:World Fair Trade Organization)は、事業活動全体がフェアトレード基準を満たしている団体のみが加盟することができる連盟です。
WFTOマークは、発展途上国の生産者の労働条件や賃金だったり、児童労働や環境などに関して基準を満たしていることを認められた団体が取得する認証マークです。
国際フェアトレード認証ラベルが製品に対する認証なのに対し、こちらは団体に対する認証となっています。
そのため、WFTO加盟団体が販売している商品はすべてフェアトレードの商品です。
日本では、People Tree(ピープルツリー)やネパリ・バザーロなどがメンバーとして加入しています。
フェアフォーライフ認証(FFL:Fair For Life)
フェアフォーライフ認証(FFL:Fair For Life)は、2006年に作られた環境と人権を守る基準で、その後2014年にエコサートグループに引き継がれました。
そして2016年にフェアトレードの基準が加わった認証システムとなった認証です。
フェアトレードの基準はもちろん、環境や人権保護の認証が持つ基準も網羅されている認証で、有機認証の分野で長い歴史のあるエコサートだからこそ実現した認証システムだと言われています。
フェアトレードUSA(FTUSA:Fair Trade USA)
フェアトレードUSA(FTUSA:Fair Trade USA)は、Institutefor Agricultural Trade Policy(IATP)という団体によって1998年に設立されました。
パタゴニアがフェアトレードUSAとパートナーシップを組んでいるようです。
フェアトレード連盟(FTF:Fair Trade Federation)
フェアトレード連盟(FTF:Fair Trade Federation)は、9つの原則にコミットしている北米のビジネスをサポートしているフェアトレード認証機関です。
農民と労働者の持続可能な生活を促進し、環境を保護する製品の基準を設定しています。
ドクターブロナーも参加しているようです。
その他のフェアトレード
世界には、上記の団体とは別で独自の基準をもってフェアトレードを行っている組織や製品もあるそう。
フェアトレードの基準は団体によって違うので、消費者がそれぞれの基準を理解するのは難しそうですね。
また、独自の基準を持ってフェアトレードを行う理由の一つに、国際フェアトレード認証ラベルの取得にお金がかかることも関係しているとも言われています。
年間のライセンス料と商品1つ1つにラベルの取得費用がかかるため、その金額を考慮して国際フェアトレード認証ラベルを取り下げる組織もあるのだとか。
すべての組織が金額面が理由ではないとはいえ、フェアトレードは第三者からの監視があるからこそ妥協のない取り組みができているのではと否定的な意見もあるようです。
そのため、自身で信頼できるブランドを探すのは大変だと言えますね。
国際フェアトレードラベル機構の「国際フェアトレード基準」
国際フェアトレード基準の原則
経済的基準 社会的基準 環境的基準
- フェアトレード最低価格の保証
- フェアトレード・プレミアムの支払い
- 長期的な取引の促進
- 必要に応じた前払いの保証など
- 安全な労働環境
- 民主的な運営
- 差別の禁止
- 児童労働・強制労働の禁止など
- 農薬・薬品の使用削減と適正使用
- 有機栽培の奨励
- 土壌・水源・生物多様性の保全
- 遺伝子組み換え品の禁止など
商品の価格が下がってしまえば、生産者に十分な収入が入らずに生活が持続可能なものではなくなってしまいます。
そのため、最低価格の保証が定められています。
また、児童労働や強制労働の禁止も基準で定められているので、フェアトレードの商品を買うことで児童労働などに加担しない商品選びができるようになるのがメリット。
さらに、生産者の健康や地球環境の保全のために、農薬や薬品の使用削減や遺伝子組み換え品の禁止なども基準として定められているので、フェアトレードの商品は消費者の健康にもいい商品と言えます。
WFTOの「フェアトレードの10の指針」
WFTOには、団体が順守すべき「フェアトレードの10の指針」が定められており、加盟団体が基準を守り活動しているかを監視しているようです。
フェアトレードの10の指針 (10 Principles of Fair Trade)
1. 生産者に仕事の機会を提供する
2. 事業の透明性を保つ
3. 公正な取引を実践する
4. 生産者に公正な対価を支払う
5. 児童労働および強制労働を排除する。
6. 差別をせず、男女平等と結社の自由を守る
7. 安全で健康的な労働条件を守る
8. 生産者のキャパシティ・ビルディングを支援する
9. フェアトレードを推進する
10. 環境に配慮する
フェアトレードの問題点
生産者の生活改善や自立の支援ができる仕組みですが、問題点もいくつかあります。
- 価格が高くなる
- 品質が安定しない場合がある
- 基準が曖昧
価格が高くなる
生産者の生活を保証するために適正な価格を支払うことや認証を得るために手数料を支払う必要があることで、商品の価格が高くなることはデメリットの一つです。
日本は特に値段が安すぎる商品が多いため、安すぎる価格が普通だと考える人も多く、わざわざ高い商品を買うという選択肢を持つのが難しくなってしまいます。
安い商品と比べて「高い」と考えるのではなく、これが妥当な価格なんだと理解して購入する必要がありますね。
品質が安定しない場合がある
フェアトレードの商品が作られる発展途上国では、生産の技術が乏しいのが現状で、品質が安定しない場合もあります。
特に日本は品質が重要視されるため、フェアトレードの商品がなかなか受け入れられにくい面もあるようです。
また、賃金が安定することによって、生産者の仕事に対するモチベーションも下がってしまうことも考えられるそう。
基準が曖昧
国際フェアトレードラベル機構とWFTOなどの認証機関には明確な基準がありますが、独自の基準を持ってフェアトレードを行っている企業もあります。
そのため、独自の基準では極端に言えばどんなものでも「フェアトレードです。」と言えてしまうのが現状です。
独自のちゃんとしたフェアトレード基準で行っている組織ももちろんあると思いますが、やっぱり消費者の視点から言えばせっかくフェアトレードの商品を購入するなら、機関が設けられて審査や監視がしっかりと行われている国際フェアトレードラベル機構とWFTOを選ぶほうが安心だと言えるのではないでしょうか。
フェアトレードが関係しているSDGsの目標
- 目標1―貧困をなくそう
- 目標2―飢餓をゼロに
- 目標5―ジェンダー平等を実現しよう
- 目標8―働きがいも経済成長も
- 目標10―人と国の不平等をなくそう
- 目標12―つくる責任つかう責任
- 目標13―気候変動に具体的な対策を
- 目標17―パートナーシップで目標を達成しよう
フェアトレードは、SDGsの17の目標のほとんどに関わっていると言われています。
発展途上国の生産者や労働者に適正な賃金を約束することで貧困や飢餓をなくすことに繋がります。
また、フェアトレードで女性自立の支援を行っている組織もありますよ。
フェアトレードの商品は、農薬の使用を減らすことで生態系や資源を傷つけない持続可能な農業生産を促進し、気候変動の対策にも繋がっています。
17の目標についての詳細は別の記事でもまとめています。
あわせて読みたい
国際フェアトレード認証対象産品
国際フェアトレード認証の対象となっている産品にはさまざまなものがあります。
とくにバナナやチョコレート、コーヒーは日本でも頻繁に見かける商品です。
産品名 | 分類される代表的な製品 |
コーヒー | 焙煎豆 |
生鮮果物 | バナナ、りんご、アボカド、ココナッツ、レモン、オレンジ、ワイングレープ |
カカオ | チョコレート |
スパイス・ハーブ | スパイス:バニラ、クミン、コショウ、ショウガ、シナモンなど ハーブ・ハーブティー:ルイボス、ハイビスカス、カモミールなど |
蜂蜜 | 蜂蜜 |
ナッツ | カシューナッツ、胡桃、アーモンド、マカデミアンナッツ |
オイルシード・油性果実 | ごま、オリーブ、大豆など |
加工果物・野菜 | ドライフルーツ、フルーツジュース、ドライ野菜 |
サトウキビ糖 | 砂糖 |
茶 | 紅茶、緑茶など(※ルイボスティーはハーブに分類) |
野菜(豆類・じゃがいも等を含む) | ピーマン、メロン、ジャガイモ、ひよこ豆、レンズ豆など |
穀類 | 米、キヌアなど |
出典:フェアトレードジャパン|国際フェアトレード認証対象産品
このほかにも、コットンや金など食品以外のものもあります。
おすすめのフェアトレード商品
こちらのコーヒーはフェアトレードなのに手頃な価格で購入できるため、人気があるようです。
私は購入したことがないのですが、Amazonの定期おトク便もあるみたい。
焙煎と発送日が同じ日なので、新鮮なコーヒーが飲めるコーヒー好きにおすすめしたい製品です。
支援企業との協働で、売り上げの100%が現地の学校給食支援に繋がる素敵な仕組み。
こちらのコーヒーもインスタでもよく見かけます。
カフェインレスタイプもあるようです。
私が購入したスパイス6種のセット。
写真ではカルダモンもフェアトレードマークがついてますが、私が購入したときはターメリックのみがフェアトレードでした。
フェアトレードのチョコレートといえばピープルツリーがとても人気!
こちらはベジチョコシリーズで動物性不使用!
ただし同じ設備で原材料の一部に乳成分を含むものを製造しているので、アレルギーのある方は注意が必要。
ピープルツリーはWFTOに参加していて、パッケージにもWFTOマークが!
私は、2021年新商品のビターアーモンドを購入してみました。
私がずっと愛用しているドクターブロナーのマジックソープバーには、WFTOマークがついていました!
さまざまな国のフェアトレードの原料が使用されています。
少しずつフェアトレード商品を選んでいこう
生産者や労働者の生活改善や自立支援に繋がるフェアトレードを紹介しました!
フェアトレードは、商品自体が通常のものに比べて価格が高くなってしまうのがデメリットですが、児童労働や強制労働に加担することなく商品を購入することができます。
私自身購入できるすべてのものをフェアトレードにできているわけではありませんが、少しずつ自分のできる範囲でフェアトレードの商品を選んでいます!
フェアトレードは農薬の使用が少なく原料が有機栽培の食品が多いので、地球環境にも優しく自分の体にも優しい選択肢です!
少しずつ生活の中に取り入れてみませんか?
ほかにも環境についての記事を書いているので、ぜひ読んでみてくださいね!